2回に分けて腰痛の原因を10タイプに分けました。
285、原因別 腰痛の改善方法と再発防止対策 その1(タイプ1~タイプ5)
286、原因別 腰痛の改善方法と再発防止対策 その2(タイプ6~タイプ10+α)
しかし、腰痛の原因はとても多く、人によってさまざまです。
今回は前回までとは違う腰痛の改善例を紹介したいと思います。
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「仙腸関節のズレ」
出張で自宅に伺うと、腰が痛いということでした。
思い当たることをお聞きすると、伺った日の朝、ご主人さんを左肩にかついでトイレ介助している時、ご主人さんが座りそうになるのを必死でこらえたとのこと。
ご主人さんは90代で糖尿病もあり、一人で歩きにくい状態です。
ですのでトイレに行く時、奥様の介助が必要なのですが、体格差がとても大きいのです。
ご主人さんは一度座り込んでしまうと奥様の力では立たせられなくなるのでなんとか踏ん張ろうとしたとのこと。
奥様の体を全身確認して固かったのは、右の大胸筋と左足の外側広筋でした。
踏ん張った時に力が入った部分だと思います。
腰の筋肉は固い訳ではありませんが違和感があります。
次に仙腸関節を確認すると右側の方が狭くなっていました。
その原因は弱い筋肉は集まって力を発揮しようとするからだろうと考えました。
奥様にしてみれば、ご主人さんの体重は上からかかります。
それを支えるのは脊柱起立筋です。
しかし、身長も体重も大きなご主人さんと小柄な奥様は元々体格差がある上に、奥様も80代と高齢なため筋肉が弱っています。
なので踏ん張った時、右側の腰方形筋と腰腸肋筋が内側(背骨側)に集まったのだろうと考えました。
腰腸肋筋の起始は腸骨稜の外唇、仙骨、胸腰筋膜です。
ですので腰腸肋筋が内側に寄った時に仙腸関節が狭くなったのだと思います。
そこで腰方形筋と腰腸肋筋を外に広げるようにほぐしたら痛みが改善しました。
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「内臓からの関連痛」
別件で「常に腰が痛い」という方がいました。
筋肉にはどこにもイヤな固さがないんですけど、腸に固い部分がありました。
仰向けに寝てもらい膝を立てた状態で、腸の固い部分を指先で一定圧で押し続けました。
すると「パキッ」という音がしてそれで腰痛が改善した人もいます。
これは「タイプ8 内臓下垂」の下垂した内臓自体の異常による関連痛に当たるのではないかと考えています。
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「弱点に出た痛み」
また別件です。
腰が痛いという部分を探すと腰椎3番の右側でした。
その痛い部分をほぐすための原因を探ると背中(胸椎7番くらいの高さ)の右側に反応がありました。
そこをほぐすための原因が首(頸椎5番)の右側に反応があり、その反応が肘(腕橈骨筋の起始部)にありました。
反応はそこまでだったので、そこから今度は逆の順番でほぐしていきました。
肘(腕橈骨筋の起始部)→首の右側(頸椎5番の高さ)→背中(胸椎7番くらいの高さ)→腰(腰椎3番の右側)
すると腰がほぐれて痛みも改善しました。
これは腕橈骨筋に異常が起こり、その支配神経である橈骨神経(頸椎5番~頸椎6番)を伝って脊髄神経に刺激が伝わり、それが背中(胸椎7番くらいの高さ)や腰(腰椎3番の右側)に異常や痛みとなって表れたのだと考えます。
脊髄神経に届いた異常がなぜ腰の痛みとなったのかは、腰(この方の場合は腰椎3番の右側)への負担が大きい姿勢や習慣をしていて元々疲れていたからだと思います。
「痛い場所」と「原因」が同じ場所ではない症例でした。
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お風呂に入ると腰痛が緩和される方は、筋肉のコリによる血行不良が原因だと考えられます。
また、寝起きは痛いけど動き出すと痛みがマシになるという方は、血液の停りが原因だと考えられます。
また、ある姿勢は楽だけど動こうとすると痛みが出るという方は、骨格の歪みが原因だと考えられますので靭帯も考慮する必要があります。
腰痛と言いましてもその原因は色々あります。
思い当たる話を聞かせて頂けると原因を特定するのに助かります。